【付知の神様図鑑】三輪神社編

~付知の神様図鑑 三輪神社編~

三輪神社の御祭神

大物主神(おおものぬしのかみ)

天照大神(あまてらすおおみかみ)

月読命(つくよみのみこと)

健速須佐之男命(たけはやのすさのおのみこと)

久々能智命(くくのちのみこと)

大山津見命(おおやまつみのみこと)

鹿屋野比売命(かやのひめのみこと)

大物主神(おおものぬしのかみ)

 海の向こうから現れた光輝く神様。

 水神・雷神としての性格を持つ。薬の神。酒の神。
 大国主神(おおくにぬしのかみ)の国つくりをサポートした。大国主神の和魂(にぎみたま)としての側面を持つ。
 奈良の三輪山をご神体とする蛇神様。三輪明神。

 お供え物として、卵とお酒が供えられる。
 少名毘古那命(すくなびこなのみこと)がいなくなり、国つくりについて再び悩んでいた大国主神のもとに海の向こうから現れ、一緒に国つくりをする代わりに三輪山に祀るように望んだ。大国主神が言われたとおりに大和の三輪山に大物主神を祀るとどんどんと国は整い豊かになった。
 気に入った娘のもとへ毎夜通った話や矢に化けて近寄った話などの伝承がある。
 酒造りをしたら一夜で美味しいお酒が醸せたことで、これは大物主神が醸したお酒だといい天皇に献じた。そうして世の中に平安をもたらしたとして酒造りの神とされる伝承がある。

 

≪ご利益≫

縁結び。子授け。夫婦和合。五穀豊穣。養蚕守護。医薬。病気平癒。産業開発。交通守護。航海守護。商売繁盛。造酒。製薬。人間生活の守護。農業守護。安産。心願成就。

 

…穏やかな側面。柔和な徳を備えた霊魂のこと。

天照大神(あまてらすおおみかみ)

 黄泉の国(よみのくに)※1から帰ってきた伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、穢れを落とすための禊祓い(みそぎはらい)をした際に生まれた神の一柱。伊邪那岐命が左目をすすいだ際に生まれたといわれる。

 太陽の神。天津神(あまつかみ)※2の住む高天原(たかまがはら)※3を治める神。皇室の祖神。日本人の総氏神。
 伊勢神宮の内宮。主祭神の一柱。護山神社が守護している国有林から、伊勢神宮の式年遷宮の御用材が伐採されている。

 三貴神※4と称される一柱。
 女神説が有力だが、近年は男神説も支持されている。

 

 須佐之男命との誓約(うけい)※5に負けて、須佐之男命をしばし高天原に逗留させる。

 この時、慢心した須佐之男命が水田の畔と溝を壊したり、作物を荒らしたり、天照大神の御殿を汚したりした。さらには天照大神が機織りをしているところに全身の皮を剥いだ馬を投げ込み、一人の機織女を死に至らしめた。この事件がきっかけで天照大神は天岩屋(あまのいわや)に閉じ籠ってしまう。太陽の神である天照大神が真っ暗な岩屋に閉じ籠ったことにより、太陽が隠れてしまい高天原も葦原中つ国(あしはらのなかつくに)※6も暗闇に包まれ、災いが多く起こった。どうにか天照大神に出てきてもらおうと神々は話し合い、知恵の神である思金神(おもいかねのかみ)の案で天岩戸(あまのいわと)の前で宴を開く。

 常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)が天照大神(太陽)がいないにも関わらず鳴き声を上げ、神々はなにやら楽しそうに騒いでいる。そんな騒ぎ声が聞こえてきては外が気になってしまい、天照大神は岩の戸を少し開けてみる。すると神々は天照大神よりもすごい神様が現れたと宴をしているのだという。天鈿女命(あめのうずめのみこと)は舞を踊り、神々は酒を飲んでいる。さらによく見ようとした天照大神が岩戸をまた少し開いてみるとずいぶんと神々しい神が目に入る。その神とは、榊にかけた八咫鏡(やたのかがみ)と八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)が、天照大神の光を浴びて輝き、そのお姿を映したものだった。事実を知らない天照大神はさらにもっとよく見ようとまた少し岩戸を開ける。この時、岩戸のかげに隠れていた天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)が岩戸を押し開き、世界に太陽が戻ったという。

 神使は鶏(長鳴鳥)。朝(太陽)を告げる鳥。

 

≪ご利益≫

国家安泰。子孫繁栄。

 

※1…伊邪那美命のいるあの世のこと。

※2…天に暮らす神様の総称。

※3…天の神々の住まう地のこと。

※4…天照大神・月読命(つくよみのみこと)・須佐之男命の三柱のこと。

※5…占い。正邪を判断する裁判のようなもの。

※6…人々の暮らす地上のこと。

古事記を大筋に時おり日本書紀の記述と合わせていることがあります。

月読命(つくよみのみこと)

 黄泉の国から帰ってきた伊邪那岐命が、穢れを落とすための禊祓いをした際に生まれた神の一柱。伊邪那岐命が右目をすすいだ際に生まれたといわれる。

 月の神。夜の神。農耕の神。暦の神。

 神名の「ツキヨミ」は、月を数えることに由来するとされる。月は農業暦の重要な指標であり、農作業の指針であったため。

 三貴神と称される一柱。

 名は有名だが、神話はほぼなく、古事記にて須佐之男命が行ったとする農耕の起源を説明する神話が日本書紀では月読命が行ったとして載っている程度である。

 天照大神の使いで保食神(うけもちのかみ)のもとへやってきた月読命。保食神は口から出した多くの海山の食物でもてなしてくれる。これは保食神にとっては最上級のおもてなしであった。しかし、それを見た月読命は、そのような吐瀉物を私に食べさせるなど無礼だろうと怒りのままに保食神を切り殺してしまう。このことを高天原に戻り、天照大神に報告したところ、天照大神の怒りを買い、訣別する。これより太陽と月は交わることなく交互に天に昇るようになったとされる。

 神使はうさぎ。かつて天照大神を案内した白兎の正体が月読命であったという伝承から。

 

≪ご利益≫

農業守護。五穀豊穣。豊魚。航海安全。家内安全。安産祈願。

健速須佐之男命(たけはやのすさのおのみこと)

 黄泉の国から帰ってきた伊邪那岐命が、穢れを落とすための禊祓い(みそぎはらい)をした際に生まれた神の一柱。伊邪那岐命が鼻をすすいだ際に生まれたといわれる。

 三貴神と称される一柱。

 海原の神。豊穣の神。歌人の神。冥府の神。荒ぶる神の祖。防災厄徐の神。

 エピソードの多い神様で、大きく分けて荒ぶる神としての神話と英雄としての神話がある。

 

 荒ぶる神としての須佐之男命。

 伊邪那岐命から海原を治めるようにといわれるも、母の伊邪那美命(いざなみのみこと)を慕って泣き暮らすばかりで治めるどころかその泣き声で周囲を荒廃させる。そのため、須佐之男命は父の怒りを買い追放される。

 そこで須佐之男命は、黄泉の国へ旅立つ前に姉、天照大神に挨拶をしていこうと高天原に向かうも、天照大神は須佐之男命が高天原を奪いにきたと思い武装して出迎える。須佐之男命は挨拶に来ただけだということを信じてもらうために誓約を提案し、5男3女神が生まれた。誓約にて正しさが証明された須佐之男命は慢心する。そうして高天原で好き放題して、天照大神が天岩屋に閉じ籠る原因となり、高天原も追放される。

 

 英雄としての須佐之男命。
 高天原を追放され、出雲の地に降り立った須佐之男命が出会ったのは泣いている老夫婦と見目麗しい娘であった。老夫婦は大山津見命の子であり足名椎(あしなづち)、手名椎(てなづち)という。娘は櫛名田比売(くしなだひめ)といった。老夫婦と娘は、八岐大蛇(やまたのおろち)という恐ろしい怪物が毎年やってきては娘を一人ずつ食べてしまい、今年もそろそろやってくる頃で悲しくて泣いていたという。それを聞いた須佐之男命は、櫛名田比売を嫁にもらうことを条件に八岐大蛇を見事退治してみせる。

 この時、八岐大蛇の尾から都牟刈太刀(つむがりのたち)が出てきて、須佐之男命はこれを天照大神に献上している。後の三種の神器※1、草薙剣(くさなぎのつるぎ)である。その後、櫛名田比売と結婚して出雲の地に宮をつくると須佐之男命は、出雲国の基礎を築いた。
 その後は、大国主神(おおくにぬしのかみ)の神話にて根堅洲国(ねのかたすくに)※2に居を構えていることがわかる。

 須佐之男命がはじめて宮をつくった際に以下のような和歌を詠んでいる。また、これが日本で初めて詠まれた和歌※3だといわれる。
 〽八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を
 (やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
訳:幾重にも重なり合った雲が立ち上るこの出雲(雲のいずる)の地。この地に妻を招き入れるための宮を作ったが、幾重にも重なり合ったこの雲のような垣も作りたいものだ。

 

 神仏習合の際に牛頭天王(ごずてんのう)と同一視される。

 

≪ご利益≫

水難除去。火難除去。病難除去。五穀豊穣。文学上達。学問上達。縁結び。必勝祈願。国家安泰。商売繁盛。

 

※1…天照大神が天皇家の祖となる神を地上に遣わした際に与えたとされる神宝。八咫鏡・草薙剣・八尺瓊勾玉。

※2…あの世とこの世のはざまにあるあの世に限りなく近い場所のこと。

※3…古今和歌集(醍醐天皇の勅令で編纂された最初の和歌集)の仮名序にも載っている。

古事記を大筋に時おり日本書紀の記述と合わせていることがあります。

久々能智命(くくのちのみこと)

 伊邪那岐命・伊邪那美命が産んだ神様。

 『古事記』では久久能智神、『日本書紀』では句句廼馳と表記されている。

 樹木をつかさどる木の神。「クク」とは茎のことで、草木の幹の立ち伸びるさまをあらわしている。

 木の神とは、すなわち生命の力のこと。生命は、土壌を固めて空気を清め、木材を生むもの。

 家の木材の神ともされる。草の神である鹿屋野比売命(かやのひめのみこと)と並べて奉り、屋船神として祀られることも。

 

≪ご利益≫

厄除け。国土開発。山林業守護。

大山津見命(おおやまつみのみこと)

 伊邪那岐命・伊邪那美命が産んだ神様。

 大いなる山の神。山岳修験でも篤く信仰される。

 山の神とは、すなわち大地の力のこと。大地は、草木を育てて水を浄化し、生命をはぐくむもの。

 地の神や海の神の信仰もあり、漁船の守護として漁師の信仰を集め、古くから各地で信仰されている。出世の神。

 記紀には、大山津見神よりもその子や孫の話に親として出てくることのほうが多い。

 子に石長比売(いわながひめ)、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)などをもつ。

 

≪ご利益≫

鉱山守護。山林農産の守護。大漁。商売繁盛。五穀豊穣。福徳。海陸交通安全。

 

記紀(きき) … 古事記と日本書紀のこと。

鹿屋野比売命(かやのひめのみこと)

 伊邪那岐命・伊邪那美命が産んだ神様。

 草の神。野原の神。野椎神(のづちのかみ)とも。

 草の神とは、すなわち再生の力のこと。五穀を育てて実りを恵み、生命の糧となるもの。

 萱(かや)とは一般的に家の屋根の葺草として使われるため、家の屋根の葺草をつかさどる神とされる。

 家の木材の神である九々能智命と並んで奉られることも。

 大山津見神(おおやまつみのかみ)と兄妹であり夫婦神でもある。

 子に石長比売、木花之佐久夜毘売などをもつ。

 愛知県あま市にある萱津神社(かやづじんじゃ)には、日本唯一の漬物の神として祀られている。

 

≪ご利益≫

漬物。タバコ栽培。家屋守護。農業守護。紙業守護。染物業守護。

 

 

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付知の神社に祭られている神様について、付知ばあちゃんちスタッフが調べ、まとめたもの。

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